「というわけで、世の中では逆チョコというチョコレート会社の陰謀が流行しようとしているのです!!」

みなさんおはこんばんちは、でやんす。
今日はいっちょチョコレート会社の陰謀に乗ってやろうと作戦を練り、今まさにそれを成そうとしている最中なのでござる!

「テンション高いのはわかったから、とりあえず落ち着け」

ここは私立山吹中学校、通称吹中男子テニス部でありまして、現在お昼三時のおやつの時間にございます。
ハイテンション過ぎるあたしにストップをかけたのは、地味’s片割れ東方にありまして、練習時間を割いての会話にあります。

「さっきから語尾が変になってるし、部活はどうしたんだよ」

語尾は気にせず進んで欲しいでやんす。
立海にはもうすでにチョコを集りに行った後なんで、
妹バレンタインデーin立海大は後日アップする予定なのでスルーして欲しいのだが、そこであたしは山吹に来ることにしたのです。

なぜか?

ふふふ、そんなの決まってるではございませんか

「だって吹中の男子って律儀なの多いじゃん?」
「それなら氷帝とか不動峰に行けばいいじゃないか」

まさみんは悪戯心と頭の切れがないね!
氷帝は金持ちばっかりなんだから、くれても三倍返しとか言われたら元も子もないでしょ。
不動峰は逆に貧乏ばっかだから、くれるわけないでしょ。

「イコール、青学かルドルフぐらいしかなくなる。
青学は姉ちゃんがいるからおこられるでしょ、ルドルフは逆チョコなんて流行を知ってるわけ無い…
ということで、吹中になっちゃうわけですよ」

で、まさみんに逆チョコを貰おうと…

「ああ、すまん。その件なら今月金欠で今財布に二円しか入ってないんだ」

…あの、…その…まぢ、っすか?

「すまん」

え、ほんとに?あたしの夢のチョコレート王国は?

「実現できそうにないな」

いやいや、苦笑とかそんなのイイッスよ。あたしが欲しいのはチョコなんですよ。
やるのは嫌いだけど貰うの大好きなあたしにとってこのチョコレート会社の陰謀には乗っておきたいんだけど。

「み、南」
「今日は弁当だったから財布が必要なくて家にあるんだ」

「むろまてぃー!」
「うちはお小遣い制じゃないので金はありませんね」

「壇ちゃんっ」
「ごめんなさいです、昨日欲しかったゲームソフトの発売日で、それにお金を…あ、でもでも、百円ぐらいなら…」

「喜多!新渡米!」
「二人ならお前に目付けられる前にって帰ったぞ」
「まさみんんんん!!!」

うっそだぁ!!
あたしの夢のチョコレート大王国!!三食チョコレート大作戦!

「おいテメーら、何騒いで…」
「仁さん!!仁さん、お願いです一個でも欠片でも粒でも構いません!どうかチョコレートをッ」
「バカ言うんじゃねー。俺が金持ってるわけねーだろーが」

ですよねー。…はぁ。
こりゃもうだめだ。千石さんはどうせ女のこのところでも行ってるだろうし。

「やーみんな!今日も元気?僕はとっても元気だよ!何でかって?女の子からいっぱいチョコレートもらっちゃってさー。
いやいや、オレにはちゃんっていう大事な彼女がいるんだけど、ちゃんからはきっと今日はもらえないだろ…な、」

そうですよね。あたしもまさか今日千石さんに会えるとは思っていませんでした。
今日はてっきりお友達とおでかけかと思ってたので。あたしのハッピーバレンタイン大作戦は全然成功しそうにありません

「ちょっとまった!ちゃん、今なんかちょっと嫌なフレーズが…」
は嫌味がうまくなったな」
「ありがと、まさみん。てっきりお友達とおでかけってところがポイントだったんだけど」

「千石さん気付いてくれました?…って、そんなに落ち込まなくても。冗談ですよ、わかってますって」
「ホントに?」
「ホントですって。逆チョコくれたらその大量のチョコレートもらったことをなしにしてあげます」

知ってました?あたしって結構心が狭いんですよ

「それっていわゆる逆チョコってやつかな?」
「そうですね。あ、チョコレート用意してないんで」

だって会う予定入ってなかったもんで

「…よし!オレってば何でもしちゃうよ!今から一緒にケーキ屋いこう!好きなだけ食べて!」
「え、いや、そんなしてもらわなくていいですよ。板チョコ一枚とかで十分なんで…ってうわッ!」

そんな手を引っ張らないで下さい!ちょ、まって、あ!吹中のみんなまたね!









「おいしい?」

そんなにこっち見なくても、ちゃんと食べてますよ。おいしいです、とっても。
けど、本当にいいんですか?ケーキ二つも…

「それはこっちの台詞だよ。ケーキ二つぐらいでいいの?あ、でもちゃんは甘いもの苦手だもんね。
あのね、ちゃんと話しておきたいんだけど。
このチョコレートの山はね、全部義理だし、本命って言ってくれた子はちゃんと断ったんだよ。
ここにある分も、断ろうと思ったんだけど勝手に靴箱とか机に入ってたのと、オレが断りきれなかったやつで」

え、断っちゃったんですか?

「…え?うん、」

断っちゃったんですか!?

「いや、だから、うん。」

もったいなーい!もしかしたらすんごくおいしいのとかあったかも知れないのに!
あたしそこまで切羽詰ってないですよ!むしろおいしいのとかあったら分けてもらいたいぐらいなのに…

「何言ってんの、ちゃん。オレがちゃんの以外…あんまり…貰いたくなかったんだよ」

その合間の”あんまり”は気になりますけど、やっぱり千石さんって甘い言葉言うの得意ですね

「うぅん、そう思われると困っちゃうんだけどなぁ。とにかく、オレは本当に…」
「ごちそうさまでした」

「え、あれ?もう帰っちゃうの?まだ一緒にいようよ」
「そのチョコレートの山見てると、会えないと思って持ってこなかった自分がむかついてならないんで、帰ります。
ハッピーバレンタイン、千石さん。それと、これは前払いとして。



大好きです」

こういうもんに乗っておかないと絶対口が裂けても言えない台詞なんで。それでは








「はぁ。ずるいよ、ちゃん」

『とにかく、オレは本当にちゃんが好きだから言うんだよ』

「いっつも一番重要なときにオレの台詞取って行くんだから」

『大好きです』

「ちゃんとオレの答えも聞いて行って欲しかったのに。まあいいか。きっとまたチョコレート持ってきてくれるだろうし」


その時にでも言うよ。俺も、大好きだよって