これは本編が終わってからの話。みんな仲がいいよー
ついでに、ナチュラルCPで、

ヴァン×リグレット
オリジナルイオン×アリエッタ
イオン×アニス
アスラン×セシル
アッシュ×ナタリア
ルーク×ティア



オリジナルイオン=朔です。
何故朔なのかとかは…本編で…

です!そんな普通なのなんて…だめッ!という方はバックプリーズですm(__)m












「バレンタインだなぁ…」


広い窓から身を乗り出し、ダアト市街を見渡しながらはぼんやりとそんなことを呟いた。


「ばれんたいんでーきぃっす、ばれんたいんでぇきーっす、恋の記念日♪」


赤いハートで彩られた市街地は、そんな行事に頓着のないまでもうきうきさせる。
彼女は片足をぶらつかせながら元の世界でバレンタインデーには欠かせなかった歌を歌っていた。



「あ、そーだ!

ぬふふふふふ、いいこと思いついちゃった」



よからぬことを考えている悪戯っ子の笑みをこさえ、は小走りに部屋を出て行ったのだった。





vs.バレンタインデー!〜秘奥義”バレンタインデーキッス”!? 今日ぐらいはデレちまえ!スペシャル〜





被害者その@ リグレットとヴァン



「りーぐれっと!あーそーぼーっ!」

「……、何度言えばノックして部屋に入るようになるんだ?」


「んー、あと三億四千五百二十一回かな」


にっこりと笑顔で言い切ったに、「覚える気はないんだな」と諦め気味にこめかみを押さえるリグレット。
「それでさ、」と悪びれもなく切り出したの瞳は、異様に楽しそうだった。



「総長が呼んでたよ、リグレットの事」

「なっ!それを早く言わないか!」



デスクから思いっきり立ち上がった拍子にはらはらと重要書類は床にまき散らされる。
「ああっ!」と言って慌てて拾い始めたリグレットを手伝っても書類を集めた。


「あたしも部屋の前まで一緒に行く―。暇だし」

「暇なら仕事をしないか」


言っても絶対に聞き入れない事は今までの経験上百パーセントだが、それでも言っておかなければ気が済まない。
「えーいやだよ」と予想通りの返事が返って来たと同時に、総長の執務室の前に付いた。



「失礼します。リグレットであります」

「…入れ」



コンコン、と丁寧に二回一定のリズムでノックした彼女は、「はっ」と見えもしないのに敬礼をしてから扉を開く。
その様子を見送り、閉まったドアのドアノブに手をかけたまま、中の会話に耳を傾けた。



『どうかしたのか』

『…はい?私は、閣下に呼ばれたと聞いて来ましたが』
『誰が言ったのだ?私はそんなことは一言も…』



ヴァンが席を立ち、椅子が軋む音が聞こえた。
ドアの前に立っているの気配に気がついたのだろう。そして「え?」というリグレットの声を合図に、は勢いよく扉を開ける。



「俺の秘奥義見てみるか!?(ガイっぽく)  秘奥義”恋のキューピットちゃん!”


「うわっ」
「!」



どすんっ!と力いっぱいにドアの前に立っていたリグレットを近くに立っていたヴァンの方に押した。
何も予想していなかったリグレットはに押された勢いのままヴァンに飛び込む。



「ふっふっふ、してやったり!ハッピーバレンタイン!リグレット、総長っ」



「んじゃ!」と機嫌良く片手をあげてから、脱兎のごとくその場を立ち去った



「も、申し訳ありません閣下!」

「いや。大丈夫だ。それよりもリグレット。お前きちんと食事はしているのか」

「は、はい?食事、ですか?いや、あの、その…閣下、離してもらえると助かります」
「私の質問に、答えるのが先ではないのか?」

「し、しかし、あの…」



腕の中で真っ赤になるリグレットの反応を見てくつくつと笑いを堪えている悪趣味なヴァンは、の意図がきっちりわかっているようだった。
今日という日ぐらいは、なんの裏もなくただどこにでもいるような人間として彼女と接しろとでもいいたのだろう、と。

未だにトマトのような顔のままあたふたしているリグレットの背に手をまわした。







被害者そのA 陛下、大佐、少将



「なんだよその言い方はよぉ」

「えー的を得てるじゃないですか。
誰からも愛のこもったチョコレートが貰えなさそうなさびしい陛下と大佐にあたしから愛のこもった義理チョコ持ってきてやってるって言うんです」


から愛のこもった義理チョコなんて、私としても貰ったって嬉しくありませんよ。ねぇ陛下」
「なージェイド」


「うっわーむかつくその言い方!
いいですよ、ブウサギに食べさせますから。おいでージェイド、ぶぅぶぅ」

「こらブウサギジェイド。いくら食い意地の張った豚だろうと私の名前が付いているのならえさになんかつられちゃいけません」

「おいこら!ブウサギを食い意地の張った豚とか言うな!
こんなに知性が高くてかわいくてキューティクルなうさぎさんを馬鹿にするんじゃねよ!」



不毛なやり取りに傍で頭を抱えているのはアスラン少将で、彼は謁見の間の扉の前に立って三人の様子を見ていた。
すると不意にと視線が噛み合って、彼女はにやっと笑うと(その時アスランの背に冷や汗が流れた)、くるりとブウサギジェイドから逆の方向へ向く。



「おいでーアスラン、ぶぅぶぅ。おいしいチョコレート食べさせてあげますよー」

「あーこら!まじでブウサギにチョコレートやるんじゃねぇよ!
確かにブウサギは雑食だけどな、お肌に悪いモン食べさすなよなっ!


毛が抜けてガッサガサのお肌になったブウサギアスラン、みたいですよねぇ少将?」

「ま、待ってくれ殿!いくらブウサギだとはいえ自分と同じ名前の者が毛が抜けてガッサガサなど…」



チョコくれ、とのお腹に前足を引っ掛けてぶぅぶぅ鳴くアスラン(ブウサギ)。
毛が抜けてガッサガサになったアスラン(ブウサギ)をリアルに想像して顔を真っ青にしながらこちらに駆け寄って来るアスラン(人間)。


そしてアスラン少将がギリギリまで近づいたところで、はすばやい動きでチョコをポケットに直し、アスラン(ブウサギ)の両足を抱えてくるりと方向を変えさせた。
はアスラン(ブウサギ)の後ろに立っているのでアスラン(人間)とアスラン(ブウサギ)の間を阻むものは何もない。


それに気がついて慌ててアスラン少将はスピードを落とそうとしたが時すでに遅く、一人と一匹のアスランは顔面をぶつけた。(正確に言うとブウサギは鼻)
その拍子にチュッとかわいらしい音が謁見の間に響く。



「ふっふっふ。見たか!ちゃん秘奥義”バレンタインデーキッス”!
さすがにいくら見た目だけは若いとは言え三十代のおっさん二人が公衆の面前でキスっていうのもキツイかなぁと思って。

今度陛下の部屋で期待してますね☆


「期待しなくて結構ですよこのバカ」


「うっわひどい!大佐が珍しくストレートに暴言を吐いたっ!



「それほど馬鹿な事言ったっていうことに気付けアホ娘…」

「ピオニー陛下まで!なんでですか、あたしは心底期待してますよ!ええガチでっ!



がさんざん二人に罵られている間中、アスランは目の前でぶぅぶぅと何事もなかったかのようにかわいらしく鳴くブウサギを見ながら、
敵国にいる愛しい彼女の事を思っていた。


その後、もちろんの買ってきた三人分のチョコレートはきちんと受け取ってもらったとさ。







被害者そのB 姉




「ところでさ!坊ちゃん!」

「坊ちゃん言うな猿娘」
『そうだよ、坊ちゃんの事坊ちゃんって言っていいのは俺だけなの!』

「…お前は黙っていろシャルティエ」


それ以前に、何故そうも顔を合わせるたび対立しようとするんだお前は。とリオンはため息をついた。
しかしはリオンの言葉を一ミリも耳に入れていないらしく、うきうきとした表情のままちょいちょいっとリオンに招き手をする。

どうやら耳を貸せ、と言いたいらしい。
リオンは眉間に皺をよせながら、しょうがなさそうにに耳を貸した。



「――――だから、――なんだよ。ってーことで、――――――。
やっぱり―――――なんだから、リオンも――――に―――――――するべきだと思うんだよね。

シャルティエもそう思うでしょ?思うよね、答えは聞いてないけど。
だから坊ちゃん。今日だけは特別頑張って――――に――――してたみたいに、――――に――してみたらどう?」



リオンは一瞬大きく瞳を見開いてから、「ふ、ふん」と焦ったように鼻を鳴らす。
シャルティエは「へーそーなんだー。良いこと考えるじゃん」とこういうときだけはに賛同するようだ。


「ま、頑張れよ!リオン!」


ケタケタと他人事のように笑いながらリオンの背中をバシっ!と叩いて去って行く
いつも思うが、嵐のように突然やって来たかと思えば自分の用事を済ますと勝手にどこかへ行く奴だと思う。


シャルティエにしろ自分にしろ、面と向かうとつい喧嘩腰になってしまうが、
この世界に来てまず最初に自分たちを全面的に受け入れてくれたのは彼女だ。

彼女も異世界人ということはあるが、ごと自分たちを受け入れてくれたおかげでこの世界の人々も二人をすぐに受け入れてくれたところもある。


「まあしょうがない。今日ぐらいはあいつの言う事を聞いてやろう」

『照れちゃって―坊ちゃん』
「…捨てるぞ、シャルティエ」


心の中で長ったらしい言い訳を作ってから、リオンはのいる部屋へと足を運んだ。




ガチャリ、と突然開いた扉に焦げないようにカレーを混ぜていたがドアを振り返る。
そこにはいつにもまして眉間に皺の多いリオンが立っていた。



『あーもう坊ちゃん!緊張して皺が寄ってますよ!』
「う、うるさい」



カツカツとリオンはに歩み寄って、それから俯いたままふぅと息を吐くとゆっくり顔をあげる。



「好きだ、



想像もしていなかった突拍子もないリオンの台詞に、「は?」とは思わずカレーを混ぜている手を止めた。



「一度は捨てた命だ。これからできるだけ長い間、と一緒にいたい。僕が幸せにしてやりたいと思っている。
迷惑をかけることもあると思うが、ずっと僕の隣にいてくれ」



リオンの右手が未だに現状が理解できず呆けているの後頭部を掴んで自分の方に引き寄せる。
数秒後シャルティエが『ひゅー、あついねぇ』と間延びした声をあげてやっと手を離したリオンは、顔を真っ赤にしてマントを翻しながら踵を返した。



「ぷ、…ぷりんを買ってくる」



リオンが出て行った拍子に響いたドアが閉まる音でやっとこさ現実に戻って来たは、リオンに負けず劣らず首元まで赤くなって両手で顔を押さえた。


「リオンのせいでカレー焦げちゃったよ、もう」


――「今日はあたしたちのいた世界でバレンタインデーって呼ばれてる日だから、恋人同士がデレまくるなんだよ。ってーことで、YOUデレちゃえよ。
    やっぱりリオンとも恋人同士なんだから、リオンもにデレちゃったりするべきだと思うんだよね。

    シャルティエもそう思うでしょ?思うよね、答えは聞いてないけど。
    だから坊ちゃん。今日だけは特別頑張ってマリアンさんにいつもしてたみたいに、にデレデレしてみたらどう?」






被害者そのC ジャンとマリア、アリエッタと朔、アニスとイオン



「マリア」


呼ばれて振り返ったマリアは、自分の名を呼んだ彼に微笑んだ。


「どうした、ジャン。伯爵は仕事があるんじゃないのか?」

「もう終わらせたに決まっているだろう。
知っているか?今日はがいた世界でバレンタインデーと呼ばれる日だそうだ。女性が愛する人にチョコレートを贈る、という日らしい」


「ああ。知っているさ。
けれど、それはの国だけであって、本来は男性が愛する人に花束を贈る日なんだろう?」


そう言ってジャンは背中に回していた手を、マリアはポケットから取り出した綺麗にラッピングされた小さな箱をお互い差し出した。


「「HAPPY VALENTINE」」







そんな二人の会話を物陰から聞いている姿があった。

彼女はぎゅっと持っていたぬいぐるみを抱きしめると、噂の少女の元へと走った。






!」

「うお?アリエッタ?どったの」


頬っぺたをピンク色にして駆け寄って来たアリエッタには首を傾げる。
どこかに行こうとしていたようだが、はアリエッタを見るとすぐに足を止めた。



「今日はバレンタインデーなの?」

「うん、そうそう。ってあれ、アリエッタにバレンタインデーの話したっけ?」


「してないけど、アリエッタチョコレート作りたいの!朔にね、あげたいの!」

「あーなるほど。おっけおっけー。
じゃあチョコレート買いに行こう!おいしいチョコレート、作ろうね」





「……で、できたぁああああっ!」


まさか二回も失敗するとは…大量にチョコ買っといてよかった…
アリエッタの嬉しそうな叫び声を聞いて、それまでの疲れも吹っ飛んだはラッピングを手伝った。


「ショコラ、これでマスターしたねアリエッタ」

「うん!来年は一人で頑張る!」

「おう。頑張れ頑張れ」



「行ってくるね!」


ピンク色のかわいらしい(朔がアリエッタにプレゼントした)エプロンをつけたままキッチンを出て行くアリエッタ。
その後ろ姿を見ながら、は一緒に作った自分の分もラッピングを施して、ポケットに入れた。






「イオン様!―――じゃなかった、朔!」

「アリエッタ、おかえり」
「ただいま!」


振り返った朔の、日光で色が抜けきった琥珀色の髪がなびく。
少し息を切らしながら朔に駆け寄ったアリエッタは、恥ずかしそうにうつむいた。



「今日はね、バレンタインデーだから、アリエッタ朔にショコラ作ったの」

「!…嬉しいよアリエッタ。ありがとう」



おずおずとラッピングの施してある箱を差しだすアリエッタに、それを心底うれしそうに口元をほころばせて受け取る朔。
そのままアリエッタの腕を引いて、朔は自分より一回り小さなアリエッタをぎゅっと抱きしめた。



「もうどこにも行かないから、アリエッタ。いつも傍にいてくれてありがとう」

「ううん、アリエッタも。ありがとう」








「とか言っちゃってさ!何らぶらぶしてんだっての!もーイオン様もなんとか言ってやって下さいよ!
あんな嬉しそうな顔でのろけを聞かされるあたしの身にもなってほしいってもんですよ、ったく」


腰に手を当ててぷりぷりと怒るアニスを見て、思わずイオンは苦笑を零した。


――「本当にいいんですか?まるで――僕が貴方の名前を奪ってしまったような気がして…」

――「馬鹿じゃないの?僕はもうあんな名前いらないよ。やっと僕はあの名前から縛られなくなったんだから、むしろ嬉しいぐらいだけど?」



自分と同じ顔なのに随分と雰囲気の違うオリジナルの彼を思い出す。
イオンはいつもとなんら変わらない手つきでそっとアニスに顔を近付けると、頬っぺたにキスを落とした。



「僕は、良いと思いますよ?アニスも、アリエッタにのろけてあげればいいんですから」

「!も、もう!イオン様ってば二歳児のくせに生意気ぃっ!」

「ふふ、僕はもう三歳ですよアニス」
「ああいえばこういうんだから…あ、そろそろフローリアンが勉強終わる時間だ!それじゃあイオン様、あたし行きますね」


「兄弟とはいえ、アニスを取られたようで悲しいです」

「?なんか言いましたか、イオン様」

「いえ、なんでも。
ああ忘れていましたアニス」



突然差し出された溢れる花束に、アニスは思わず「綺麗」と零した。
受け取ると花独特の甘いにおいが香る。


「いつも傍にいられなくてすみません、アニス」

「いえ、こちらこそ!早くイオン様に勝るようなすごい女導師になりますから。楽しみに待っていてくださいね」


そう云って教会へと走り去るアニスの背中を、イオンは見えなくなるまで見送っていた。







被害者そのD アッシュとルークとナタリアとティアとガイとミュウ




「で?なんだって俺がこいつらとつるまなきゃならねぇんだ」


渋い顔で言ってのけたアッシュを、「まぁまぁ」とがなだめる。


「そんな事言って―。ナタリアがチョコレートくれるらしいよって言ったら即答で一緒に来るって言った癖に」

「うるせえお前は黙ってろ!」


顔を真っ赤にして叫ぶ。そういうところがいじられる要因になるんだってどうしてわかんないかな彼は。
二人の姿――というよりもアッシュの姿――を見つけたナタリアが、「まぁ!」と赤くなった頬っぺたを両手で押さえた。


「来てくれたんですのねアッシュ!」


駆け寄るナタリア。二人を邪魔しちゃいけない、と離れたところにいたルーク・ティア・ガイ・ミュウのところへ寄る。



「よく来たなぁ、アイツ」

「あったりまえでしょ。ナタリアがチョコレートくれるっていって来ないわけないじゃん。
たとえそのチョコレートが名前だけのものだとしても、ね

「ははは、それは言い過ぎだろう

笑いながら言っちゃダメじゃない、ガイ」

「ですの!」



パタパタと飛び跳ねるミュウ。相変わらず元気だ。
そうすると後ろから足音がして、腕を組んだナタリアがむっと顔をしかめていた。


「何かお話してまして?みなさん」


「「はははー、嫌何も」」



「相変わらずとぼけた面してやがるな、レプリカ」

「っな!お前なぁアッシュ、どうして相変わらず俺の顔見るたび喧嘩売って来るんだよ!」


ふん、と鼻をならしたアッシュに、ルークが食ってかかって一歩前に歩み出る。
それを見て、「えい」というあまりにも軽すぎる掛け声で、ぽん、とがルークの背を押した。

すると案の定「んぐっ」という二つの声が漏れて瞬間すぐ近くにあった二つの赤がすごい勢いで距離を作った。



「なっ!何すんだ―――――っ!」


「え、いやぁ二人がすんごい顔近付けたからちゅーしたいのかなって「んなわけあるかっ!」



「うそ」「まぁ」「うえ」という、ティア、ナタリア、ガイの声に、はニッコリ笑って足元にいたミュウを取り上げ、三人の方を向く。
そして三人とミュウの口をくっつけさせると、満足気にうんうんと頷いた。



「ごめんねナタリアもティアも彼氏同士キスさせちゃって。
今日の所はミュウで我慢してあげて。ナチュラル過ぎるカップリングはあまりにも寂しくてもうちゃん途中で心がくじけそうだったよ…

本当は二人にさせたかったんだけどやっぱりノリ的にアッシュとルークかなと思ったら身体が勝手に…ね?
あと、ガイはその場のノリで」



「何がノリだ!何が嬉しくてオスとキスせにゃならん!」

「それいうなら俺なんてアッシュとだぞ!?」
「それはこっちの台詞だ劣化レプリカ!」



「みゅ、ミュウとキスしちゃったわ…は…恥ずかしいっ」
「あ、侮りがたしですわミュウ!まさかそんなアッシュ以外の殿方とキスしてしまうなんて」


「ミュウ!僕は慣れてるですの!」

「「「は!?なんで!?」」」



それぞれがそれぞれに口元を手で押さえている。
一言で言えば異様な光景だ(お前が言うな)



「まぁガイ。このままだと本当にオスと…「それ以上は自主規制しろ」…うっへーい」

「というかな、。俺だってそろそろ慣れて来てもいい頃だとは思ってるんだ…
なのにやっぱりいつまでたっても大丈夫なのはお前だけだし…」


「そうよね。みんなのこと男だと思ってたから」

「そーだよ。みんなの言い様といったら…あたしは何にも言ってないだけなのにどんどん勝手に男設定になっちゃうし。
…ま、楽しかったからいいんだけど


「それが第一ではありませんくて?」



ナタリアの的確なツッコミに「まあね」と反省の色がまったくない返事を返す



「ああああああああああ」

「ちょ、ちょっとルーク!大丈夫?ショックで気が遠くなっちゃってるわ…」


「……」

「あ、アッシュ!?アッシュまで!」


「ごめんなさい、私ルークを連れて先に帰るわ。口洗わせたらきっと元に戻ると思うから」
「そうですわね。わたくしも、アッシュは嫌かもしれませんが一緒にキムラスカまで来てもらいます。それでは、ごきげんよう」



慌ててアッシュとルークを連れ帰るナタリアとティアの背中に手を振ったは、「ミュウも巣まで送るよ」と言って森を歩き始める。
ガイも別れる理由が特にないので、自然と隣を歩く形になった。



「ところで、だ。人の事は良しとして、。君自身はどうなんだい?」

「あっちゃーそういうとこ聞く?
うーん。本当は何にも用意してなかったんだけど、アリエッタの手伝ってたら一緒に作る事になっちゃって。

ラッピングしたのはいいけど渡すタイミングとかわかんないし、もういっかなーって。
タイミング考えたりとか空気呼んだりするのってすんごいめんどくさいし

「…いかにもらしい考えだな」


「みゅう!ミュウはタイミングが違ってもチョコレートもらえたら嬉しいですの!」

「うん、そうだな。ミュウの言うとおりだ。
渡す事に意味があるのであって、タイミングや空気は後からついてくるものじゃないのか?」



わざとらしく肩をすくめたは、「さて、どうしたもんかね」と零した。



―――「が言ってるのは、母親としての好きだよ。僕が言ってる好きとは違う。
     でも、それでもいい。それでもいいから――――僕の事を、好きでいて欲しい」



「今はもう、母親としての好きじゃないとあたしは思ってるんだけどな」










被害者そのE シンクと…あたし!?






「それで?何か言う事とか、渡す物とか。――ないわけ?」


どうしてそんなに上からなんですかシンク様

ご立腹の姫君が玄関で仁王立ちしている。
は「え、えへ☆」とごまかしてみるが、シンクには到底通用しないことなど分かっていることだ。



「……はぁ。わかってるよ。
どうせ渡すタイミング考えるのとか空気読むのとかめんどうくさいから用意してないとか言うんだろ?」



心を読まれている、だと!?


ぎくっ!と肩を揺らしたに、シンクは「もういいよ」と言って拗ねた様子で踵を返し、リビングへと去って行く。
慌ててそれを追いかけたは、ふてくされてリビングのソファで丸くなっているシンクの頬っぺたを苦笑気味につついた。



「ごめんってシンク!冗談だよ、ちゃんと用意してるって!
はいこれ。アリエッタと一緒に作ったんだけどね。ちゃんとおいしいからさ」



シンクの頭上でショコラの入った箱を見せびらかすように揺らす。
するとバッとそれを取って、空になったの手を思いっきりシンクが自分の方へ引っ張った。

案の定背中から床にダイブしたが「いたっ!」と声をあげておきあがろうとするが、シンクがの胸倉を掴んだまま上に乗っているので動けない。
シンク相手だと思って油断してたか?喧嘩売られるのか?


しかしシンクの顔は怒っていると云うよりも悲しそうで、思わず手を伸ばして頭を撫でた。シンクを育てていた時の癖だ。



「ほら。アンタはまた僕の事子ども扱いするだろ?
僕がのチョコ欲しいって思うのは、恋人としてであって家族としてじゃないんだ。

長い間と一緒にいるからアンタが女の思考回路持ってないことぐらい知ってる。
―――不安なんだ。まだ僕との距離は家族のままなんじゃないかとか、アンタが、……またどっか行っちゃうんじゃないかとか。

チョコレートぐらいで安心するなんて馬鹿みたいだってわかってる。
それでも、――――それでも、」



今にも泣き出しそうなシンクに「ばっかだなぁ」と言ってのけたは、優しい声で教えるように言った。



「あたしの好きは、多分シンクと同じ好きだよ。そりゃ家族だってことに変わりはないけど、それでも、今は恋人として好きなんだ。
あたしがまたいなくなったときは、シンクが探してくれるでしょ?

だいたい、チョコレートぐらいで安心してくれるんなら、毎日チョコレート固めてあげるよ。
あたしは、シンクが幸せでいてくれるならそれでいいんだ」



微笑んだと距離を縮める。
ゆっくり離れると、シンクはにしかわからないぐらい薄い――それでもシンクにしては満面とも言える――笑みを浮かべた。



「前も、アンタにキスしたことがある」


――「どっからキスなんて覚えて来たの!?あたしそんな教育してないんだけどっ!!」

――「ジャンが言ってたんだ。キスは大事な人にするもんだって。
   は僕の一番大事な人だからね」


――「だぁもうっ!これだからあの万年バカップルは!」



「あの時は家族ってだけだったけど」


――「僕とするの、嫌なの?僕はの大事な人じゃないの?」

――「あたしも、シンクは大事な家族だからね。別に嫌なわけじゃないけど…はずいっていうかなんていうか…」


「今は家族で恋人だから、あの頃より二乗幸せだね」






                                         HAPPY
                            君がめいっぱい幸せである事。それがあたしの生まれた意味であればいい







+++++

いろいろ本編後の設定は考えてるんですけど、ここでネタバレしたら面白くないよなーって思って結構省いてます。
なので本編が終わったらもう一回修正しなおして、省いてた設定も入れたいなとか思ってたり…

まだ本編が追いついていないので「え、そうなの?」とか「なんでこうなの?」とかいう点が多いかもしれませんが。
本編が追いついたら分かると思います(遠い目)

書きたいシーンとかいっぱいあるんですけど、なぜかほぼ一カ月に一回の周期でテストがあって追い詰められてるという状況です(涙)

それと、このもん○んで在庫がないかもしれないという中レディアントマイソロジー3をしたくてPSPを買うお金を貯めてるところです。
早く買いたいです。姉ちゃんも協力してくれるらしいので早く買える、……はず。


とにかく、はやく本編書きまくりたいです!
ああもう!みんな幸せになっとけコンチキショー!



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