男の子がくれるチョコレートというのは結構気になる。お母さんが買ってきてくれたのを渡す、というのは小学生で終了。 じゃあ中学生の男子は?ということになるが、それは今から説明するのでそんなにせっかちに問い続けないでほしい。 そう。今から説明というよりも証明されるのだ。レギュラー陣の手によってっ! 【ホワイトデー〜立海編〜(バレンタインデーは終わっちゃったからホワイトデーにしたょ。…ホワイトデーも終わったけどさ)】 はごくりと固唾を飲んだ。今日はホワイトデーである。 逆チョコという新たな試みがチョコレート会社の陰謀によって生まれたのはつい一か月前のこと。 これに乗っかったのはだけではなく、きっと全国のイケメンテニス部軍団もだと思う。 毎回毎回殺到する女子を押しのけるのはある意味恒例と化していたバレンタインデーが、ついに終了を迎えるのだ。 その苦労を長々と話してくれたのがブン太と仁王だ。特に彼らは死ぬ一歩手前まで言ったという。 女子の軍団をかきわけては男子トイレへと逃げ込み、ついには信頼していた友までもが褒美につられてうらぎり信じられなくなった。 信じられるのはレギュラー陣のみ。そんな過酷な状況の中、彼らは二十四時間という長い一日を過ごさなければならないのである。 とはまあ言ってみたものの、結果的に彼らはこのチョコレート会社の新たな陰謀に乗っかった。 各クラブの部長に数を。帰宅部の人には、放課後の部活でフェンスに集まってきたところを。 もちろん、「これはみなさんへの感謝の気持ちですので、ホワイトデーのお返しはいりません」という手紙をつけて。 しかしには違った。そのチロルチョコはにだけは渡されなかったのである。 学校中をさがしてみても、きっとテニス部からチロルチョコをもらえなかったのはだけだ。先生方でさえ渡されていたのに。 何度かねだってみたが「ダメ」の一点張りで、危うく噴火しかけたところを割って入ったブン太が「御返しが楽しみだろぃ?」と説得。 それが利いたのか、はチロルチョコをねだらずに、自分のもってきたチョコレートをみんなに配っていた。 「ちょっと豪華なんだよ!みんなには日ごろお世話になってるから、ちゃんとチョコあげなさいって姉ちゃんに言われたもん」 とが出したのはメルティーキッス。「別にキスしないし明日を見たくないわけじゃないからから目を閉じなくていいよ」といって渡した。 そして今日はホワイトデーである。(二回目) はごくりと固唾を飲んだ。(これも二回目) 放課後の部室に一番乗りしたのはで、みんながくるまでに着替えて先ほどからベンチに座って待っている。 もうそろそろくるかなー、まだこないのかなー。 妄想がはびこって、赤也がくれるのはどんなだとか、どんな渡し方だとか、真田は無理だろうなとか。口元がゆるんでくる。 ガチャ、と扉が開いてあらわれたのは… 「何故一番乗りが貴様なんだっ!」 「何をいってらっしゃいますか。一番乗りはあなたでしょう」 変態メガネ紳士だった。がくりと肩を落とす。しかし気を取り直して両手を差し出すと、小包が置かれる。こいつのお礼は豪華かもしれんぞ? 「あ、開けてもいい?」と聞くと「もちろんです」と帰ってきたのでいそいそと開けてみる。 小包の中身は、可愛らしいブレスレットだった。「をぉっ」と歓声をあげると、紳士がすかさず「学校ではだめですよ」と念を押す。 「ありがとー」とお礼を言って、言いつけも聞かずにジャージの下につけておく。真田にばれませんよーに。 「いよぉっす!」「はろー」 ハイテンションとローテンションが入室。その途端甘い匂いが部室に充満して、期待に瞳を輝かせる。 「じゃじゃーん!手作りチョコレートケーキ!いいだろぃ?」 「やったぁ!」 しかもワンホール。早速持ってきていたナイフでケーキ入党を始めたブン太の隣りで、仁王が後ろからの肩をたたく。 振り向くとポッキーふた箱がさし出される。「忘れとったからこれで勘弁」 「ありがとうございます」と笑顔で受け取って鞄の奥にしまう。いやいや、ふた箱もあるだけで十分っすよ。 ガッシャンと大きな音をたてて入ってきたのは赤也で、大きな包みを抱えて荒く息をしている。 どうやら自分が一番乗りだと思っていたらしく、面々を見て唖然として見ていたが、しばらくたってから「早いッスね」と呟いた。 てくてくとに歩み寄り、包みを乱暴に渡す。顔はうつむいていてよく見えないが、耳が真っ赤だ。そんなに恥ずかしいか。 一世一代の告白でもあるまいし(それは前にしたもんなあ)、乙女じゃあるまいし(オトメンってやつですか?)。 「開けいい?」と聞くとコクコクと頷く。面白い。 「かーわーいー!!」 中から顔をのぞかせたのはビッグサイズとはいかないものの、そこそこ大きなテディベア。 ふにゃりとした顔がなんともいえないかわいさをかもしだしている。「ありがとーあかや!」 「そういえば、真田君は委員会で送れるそうですよ」 「幸村と柳もって言ってたぜ?俺こっちに来てる途中で会ったから伝えとけって言われた―」 「じゃあ三人の分はおあずけだねー。残念」 ガチャ、といいタイミングで(いいのか?)入ってきたのは報告がなかったジャッカルで、一斉に視線が降り注いだので一歩たじろぐ。 「どうかしたのか?」というジャッカルの問いに全員が首を振ると、ジャッカルは安堵のため息をついての掌に小さな包みを落とす。 右手に持っていたフォークを置いて包みを開けるとキーホルダーが入っていて、ぷーさんが蜂蜜をたべているところだ。 「ありがとージャッカル先輩!鞄につけよーっと」 「しっとるか?ぷーのキーホルダーっちゅーんは夜中に蜂蜜を人につけて食うらしいぜよ」 「まぢでかッ!」と仁王の方を見ると笑顔で「うそじゃ」と返される。 「ですよねー」と相槌を打ってからおやつ再開。なんともおいしいチョコレートケーキをおつくりになる。にも負けないよ、これ。 あと二個でワンホール間食というところで、柳と幸村が帰ってきた。 本来ならば部長が注意しなければいけないところを、「床にこぼしちゃだめだよ。あ、でも掃除するのはか」とそれだけだった。 むしろ自分も食べたいと皿を出してきてフォークをもらい、ひとつもらう。 「そういえば」と鞄から包みを取り出し、に渡す。お礼を言ってから包みを開くと、蜂が飛んでいる絵が可愛らしいハンドクリーム。 「ハンドクリーム好きって言ってたよね。妹がそのハンドクリーム使いやすいって言ってたから」 早速手につけていると、頭の上に何かが乗っかった。ゆっくりそれを取ると、どうやら柳からのホワイトデーらしい。 柳はどうやら人の頭に物をのせるのが好きなようで、以前は合宿中ににも挑戦したようだがバランス力のないはすぐに落とした。 その光景を思い出して少し笑いながら「ありがとー柳!」とお礼を言ってから箱を開く。 箱は細長くて結構重かった。ゆっくりと開けていくと…。「うっそーっ!やったぁー!!」 綺麗に黒と白の二つの色で塗られた、番傘。 きゃっきゃと騒ぎながらもう一度柳にお礼を言う。「親戚に職人がいるのでな」 さっそく開いたり回したりしていると、皇帝降臨。「貴様何をしておるかぁッ!!」「うげ、真田っ」 幸村はまだケーキを食べている途中で、残りの一つはがすでに食している。が、あと片付けはまだなので食べていたことはわかる。 は室内で傘を振り回しているわ、部室でケーキは食べているわ、それを誰も注意しないわでワナワナと真田が震えあがる。 「ッ!」 「すんませーん」 どなり声はきっと校舎まで届いただろう。は悪びれなく謝ると早速真田にねだりにいく。 「本当に反省しているのか」という質問に対し、「あたり前だのクラッカー」と古いギャグを入れつつ返答。 反省していないのはみえみえだが、きっとこれ以上説教しても反省しないのは今までで十分理解しているので無駄な体力消耗はしない。 差し出された手に小さな包みを乗せると、パッとは顔をほころばせた。 「ありがと!」と言ってからごそごそと中身を開ける。他のレギュラー陣も”真田のホワイトデー”は気になるようで、横から覗き込む。 もちろん柳は気にならないようで、その様子にほほ笑みをこぼしながら着替えている。 「そろそろ髪が鬱陶しい頃だろう」 「さっすが真田だね。パパだね。ホワイトデーだろうがバレンタインデーだろうが地球が滅亡しようがパパだね」 大小のゴムが二つずつ。あきれかえった面々がさっさと部活を始めようと部室を出ていく中、幸村が真田の肩を叩いた。 「せめてお兄ちゃんの位置になったほうがいいんじゃない?ほら、新しい連載じゃライバルキャラにもなるんでしょ? 危ういんじゃない?いろいろと」 まあそれはともかく、みなさん今時の男子中学生はこういう感じでした。まあ一人パパがいましたが気にせず行きましょう。 本来の中学生はどうかは全く知りませんが、きっと彼らに恩を売れば見返りは間違いなしですよ☆ というのは冗談でおいておきましょう。喧嘩売ってもすぐ買ってくれますからね、彼ら。(特に脱色らへんともじゃ) それでは、少しでもチョコレートケーキの味が伝わったことを祈って。 |