合宿と言ったら?
はい、みなさんたくさんの答えがあるでしょう。
あれですよ、学校の先生方がいう「30人いれば三十通りの考えがある」ってやつですね、はい。
あたしが考えた答え、とは。
”肝試し”でござんす!
そう、肝試しと言えば、男と男が・・・げっほんごっほん!!・・・男と女がラブラブイチャイチャするやつですよ。
合宿や修学旅行などで、ほぼ恒例行事なものですよ!
そこでみなさん、忘れちゃなりません。
あたしは、一度やりたいと――やると決めたことは、絶対にするタイプの人間でございます。
「はい、ということで跡部。よろしく」
突然話を振られた跡部は、当然の如く意味がわからない、と顔をしかめた。
前文は、跡部への説明だったのだが、当の跡部は意味がわからなかったらしい。
「アホベってホントにアホベなんだね。」
溜息混じりに言ってから、もう一度説明を始める。
「だから、あたしは”肝試し”をしたいわけ!これだけ砕いて言えばわかる?!」
「最初からそれだけ言えばいいだろうが」
何それ、あたしが悪いみたいじゃん。
と、は自分を責める気はまったくないようで、むぅっと唇をとがらせる。
「ね、跡部ものるでしょ、この話」
「バカか。誰がのるか。こんなしょうもない、子供っぽい遊びに」
はっと、鼻で笑う跡部。
馬鹿にされたことに怒るかと思っていたが、は気にしていない様子で、不敵に笑う。
「言い忘れてたや。ペア制にするからさ。・・・もしかしたら、跡部がちゃんと組めるかもよ?」
「ッ!」
目をカッと開いて、そのままを睨むように見ている。
も負けてはおらず、その笑顔のまま、跡部から視線を話そうとしない。
「のろうじゃねぇか、この話ただし・・・」
「ただし、原案書、企画の細かい作業や内容は、お前が責任とって行うこと、でしょ。
わかってるよ、それぐらい。あたしもその方が都合がいいしね。
跡部は先生方に大まかに説明して、代表者的なものになってくれればいいから。」
その朝、二人の間で奇怪な取引が交わされた。
vs跡部 → win:
昼、各校の代表一名か二名とでミーティングが行われた。
原案書に目を通した面々は、各自独特の表情を示す。
「これは、どういうことだ。」
まず口を出したのは真田で、それはの想定内のものだった。
「質問・苦情すべてあたしが引き受けるから。全部に返事返すから、一人一人手挙げて」
自信に満ちた表情で、座っているメンバーを見渡し、確認を取る。
ほぼ全員が手を挙げている。――こんなに想定通りに言ってもいいのか、とも微笑した。
「まずは六角。はい、剣太郎君」
「えっと、これはなんのためにあるんでしょうか。
確かに息抜きも大事だと思うけど、やっぱり関東大会前だし、息抜きも程々にしておかないと・・・」
「これはアシスタントも参加するので、女の子とペアになる確率も無い訳じゃないよ」
「この原案賛成です!!」
「俺も俺も」
「ちょっと待って。これは何を目的に提案してるのかな。
それに、費用もかかるわけだし、あまりに唐突すぎない?」
佐伯の意見に、「同意」という声が氷帝メンバー二人(跡部・忍足)と剣太郎、千石以外全員から聞こえた。
「目的は、あたしが楽しむため。だからって、みんなが楽しくないわけじゃないでしょ?
どっちかっていうと、みんなも楽しむだろうし。
さっき剣太郎君が言ったように、息抜きは大事。そりゃ、程々にしないとダメだけどね。
だから、一番費用がかからなくて練習にも邪魔にならなくて、みんなが楽しめる企画を用意しました。
日時は、合宿最終日の夜。夜だったら練習もしないし、それまでには余った費用が精算されてるし。
その費用でいるものをできるだけ用意。足りない物や、どうしても必要な物は跡部先輩が用意してくださるようです。
セットをみんなですることで、思い出作り。
んで、ペア制で行って、最後は花火しながらバーベキュー。で、集合写真撮影。いいと思いません?
この説明を聞いて、まだ不満・意見がある人はどうぞ」
部屋はしーんと静まりかえって、これ以上反対意見を押し通せないことを理解したようだ。
「では、これを各校全員に伝えてください。アシスタントはあたしと跡部先輩が伝えます。
今の説明で返答できない意見が出た場合、あたしに報告をしてください。必ず返答しますから」
vs各校代表 → win:
全校、の説明でほとんどの意見を抑えられたようで、への報告は一切なかった。
問題は――
「嫌!絶対いや!!!」
アシスタント・・・いや、である。
断固拒否することは、想定内だったが、さすがのもここまで嫌がるとは思うはずがない。
溜息を吐くと、「なんで嫌なの」と問う。
「費用がかさばるでしょ!」
「費用の問題はない、ってさっき説明したよね」
くっと言葉に詰まり、必死に他の反対意見を押し通す理由を考えている。
「ちゃん、そんなに肝試し嫌?本物じゃないんだから、幽霊とか出てこないって」
「そう言う問題じゃなくて!」
「じゃあ、みんなとの思い出作りが嫌なわけ?」
「うっ・・・それは違うけど・・・」
「じゃ、決定ね」
丸く収めて、満面の笑みで会議室を出た。
vs → win:
いる物は用意したし、準備も万端。あとはセットとお化け役のシナリオをつくれば、終了。
今のところ、の全勝である。
この勝負、絶対負けられないんだから
の考えているシナリオは、こうだ。
くじを工作して、そのくじをみんなに引かせる。
自身はいきあたりばったりとして、とリョーマをペアにする。
それで、二人には別の地図を渡す。(もちろん、ちょっと遠回りしてもらうだけだ)
合宿中、朋香と咲乃の事件もあったし、きっとはリョーマとまともに話していない。
おせっかいかもしれないが、いつまでこの世界にいれるかわからない。
今までから聞いた全部の話を通せば、きっとリョーマはに心が傾いてる。(これは女の勘)
ならば、ここでハプニングを起こしたってバチは当たらない。(はず)
だから、この勝負、絶対に一戦も負けてはならない。
それプラス、カップリングが見れるなんて、なんて幸せものなんだ、自分。
ふふふ、とにやける口元を手で隠しながら歩くは、周りから見れば変人(変態?)だった。
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代表者
青学:大石(副部長)・不二(代理)
氷帝:跡部(部長)・忍足(副部長←多分)
立海:真田(副部長)・柳(代理)
山吹:南(部長)・千石(代理) ←山吹の存在を忘れ去っていました…ごめんね!千石
六角:剣太郎(部長)・佐伯(副部長)
ルドルフ:観月(監督・マネージャー・部員)
不動峰:橘(部長)
の面々でした。

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